一方、学生時代から付き合っていた二つ年下の妻は東京出身で、早稲田大学文学部卒。両親が教員という家系に生まれ育ち、弟も教員になった。二人は、妻が国内大手の航空会社でキャビンアテンダントをしていた16年前に結婚した。

 男性は、これまで自分が見聞きしてきた経験から、遺伝の影響力を感じているという。

「今まで会ってきた人の中で『かなり能力が高いな』と感じた人って、聞けばだいたいその親も能力がなければできないような仕事をしていました」

 夫婦には、小学3年の長男(8)と、6歳の双子の娘がいる。長男は、父である自分と同様に、幼い頃から数字に強い興味を示しているという。

 すでに中学生向けの数学の本を読んだり、1から100までの数字を書き出して素数に丸を付けて遊んだり。ときどき、学習塾の模試を受けさせているが、6月にあった試験では夫婦も驚く好成績だった。2万人を超える受験者の中で2桁台の順位。偏差値は80近くあった。

「自分たち夫婦にすばらしい能力があるかどうかは分かりませんが、子どもたちには親のいいところを受け継いでくれるように、と期待はしています」

(編集部・小田健司)

AERA 2019年7月29日号より抜粋