アマゾンプライムにはお急ぎ便無料サービスを利用するユーザーが入っていましたが、そこにビデオも追加料金なしで観られるというサービスが加わることで、著しくユーザー数が伸びています」(電通メディアイノベーションラボメディアイノベーション研究部長の美和晃さん)

 昨年11月に電通が実施した「男女12歳~69歳・関東在住」の人を対象にした調査(d-campX)で、1カ月間に利用した人が12.7%にのぼった。

「1割を超えるのは、相当強いサービスです」(美和さん)

 そんな圧倒的強みを持つアマゾンジャパン プライム・ビデオ コンテンツ事業本部長の児玉隆志さん(50)はこう言う。

「定額制動画配信サービスの料金は1千円前後の価格設定なので、何か一つを選ぶというより二つ、三つ選択して会員になり、利用者の裾野が広がっていく段階だと思います。手軽な価格帯で様々なサービスを提供するわれわれが動画配信サービスの入り口という位置づけ。利用者が増えたといってもまだ経済規模としては小さい。成長余力がある業界だと思います」

 ネットフリックスのオリジナル作品が映画やドラマであるのと対照的に、プライム・ビデオは「ドキュメンタル」や「バチェラー・ジャパン」などバラエティーの種類も豊富だ。

「プライム会員だがプライム・ビデオは使っていなかった、気づいていてもアプリをダウンロードするのがおっくうだということで、経済的ハードルを越えても観ていない方もいる。心の垣根を越えるには独自性の高いコンテンツでインパクトがあるものが必要です」

 動画配信サービスから、ますます目が離せない。(文中一部敬称略)

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年7月29日号より抜粋