祖父母、両親からの手紙の内容を模造紙にまとめる子どもたち
祖父母、両親からの手紙の内容を模造紙にまとめる子どもたち
子どもたちが模造紙にまとめた「3世代の遊び」
子どもたちが模造紙にまとめた「3世代の遊び」

 約2カ月に渡り「子どもの遊びの歴史」を探究してきた中学年クラス(小学3・4年生)のプロジェクト。

【子どもたちがまとめた3世代の遊びはこちら】

 上中下と3分割された模造紙には、自分たち・両親・祖父母の3世代それぞれが小学生の頃にどんな遊びをしていたか(しているか)が丁寧にまとめられていました。いずれも祖父母や両親が書いてくれた、子ども時代の遊びについての手紙をしっかり読んできたことがわかります。

 探究堂キッズは年表や資料をもとに、両親・祖父母の子ども時代がどんな時代だったのかも調べました。子どもの遊びと世の中の動きに何かしらの関係性を見いだせないかと考えたからです。

 彼らにとって資料集に掲載されている写真はどれも新鮮な驚きがあったようです。特に戦中・戦後の暮らしを切り取った写真をいつになく真剣な表情で見つめる姿が印象に残っています。

「子どもの遊びの歴史」を探究するプロジェクトもいよいよ終盤を迎えます。我々は本プロジェクトの最終課題として、子どもの遊びについて昔と今で変わったことと変わらないことについて考察することにしました。

 各自の模造紙を並べて見比べながら、みんなで意見を出し合います。

「鬼ごっことかくれんぼは昔から変わらずあるよね!」

「そうそう、道具がなくても体だけあれば良いし」

「工作や折り紙は今でも人気やで」

「やっぱり自由にいろいろなものを作れるところが面白いねんなあ」

 道具不要でいつでもどこでもできる遊びや、自分のアイデアを形にできる遊び。そういう遊びはいつの時代も子どもたちの心をひきつけるのではないかという仮説が浮かび上がってきます。

 一方で昔と今で大きく様変わりしていることもあるようです。

「自然で遊ぶことはだいぶ少なくなってると思うわ」

「あと、遊べる場所もだんだん減ってるんちゃう? 今やったら家の前の道で遊ぶことなんてほとんどないし」

「公園遊びは最近全然してへんなあ」

「そもそも私、習い事が忙しくて、あんまり遊ぶ時間ないねん……」

 都市化や少子化の進行、塾や習い事の増加などにより、子どもの生活環境が大きく変わってきていることを彼らも身をもって体感しているようです。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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