●不調は坂道を下るように

小竹 そうだったんですね。ちょっとおかしいぞと感じはじめたのは、何歳くらいですか。

伊藤 38歳くらいからかな。最近は坂道を下るように(笑)。エステに行ったり、ストレッチの先生のところに通ったりしてはいますが、結局一番は毎日の生活が大事なんですよね。

小竹 私の印象ではまさこさんは、いつも規則正しく、お酒も楽しく飲み、生活はゆったりというイメージでした。でもまえがきにもありましたが、不調をきっかけに、<どうしたらうまく自分のからだとつきあっていけるかを、考える毎日>になったとありますよね。

伊藤 そうですね。もうすぐ50歳ですし、もう少し体をいたわってあげないと、いつかしわ寄せがきてしまうんじゃないかなと心配になって。ただ、先生も「からだにいいことはできている」とおっしゃってくださったので、それを本に書きました。たとえば、食べすぎたら野菜の料理を作るとか、お白湯で過ごすとか。「こうせねば」というより、そうすると自分が気持ちいいと思ったことを書いていったのですが、今回、本にまとめることによって、ふだん自分がしていることの確認作業ができた気がします。

小竹 具体的に本をつくったことで変わったことはありましたか。

伊藤 はじめたことはからだをよく動かすこと。陳先生に、ちゃんと筋肉をつけて血流を良くしないと代謝は落ちるよね、と言われました。

小竹 私はジョギングが趣味なのですが、今日は飲みすぎたから足が重いなとか、ちょっと走るとわかるんですよね。

伊藤 からだを動かすのはいいですよね。若い頃は健康が当たり前だと思っていましたが、それはとてもありがたいことなんだということに気づきました。やっと自分のからだに向き合う時間がきたと思っています。

小竹 わかります。この本も、若くいたい、ではなくて、年相応の心地よさを提案している印象を受けました。

●「病は気から」

伊藤 陳先生はよく「病は気から」っておっしゃっていたんです。うちの母はもうすぐ83歳なんですけど、本当に明るくて元気なんです。母を見ていると陳先生のおっしゃっていたことがよくわかる。健康になろうというより、気分よく過ごす。たまたま今回は、からだのことをテーマで書いたけど、違うテーマで書いた本でも基本的に考えている根っこのようなものは「気分よく過ごす」ということなんですよ。

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薬に頼るよりも……