まずは「歯に異物が触ることに慣れる」ところからスタートです。歯が生え始めたら、親が指にガーゼを巻きつけて、赤ちゃんのほっぺたや口の周りをなでながら、歯の汚れをふき取ります。ゴシゴシするのではなく優しく触れる程度でOK。「上手だね、きれいになったね」と声をかけて短時間で終了します。毎日のおむつ替えや顔を拭くのと同じような、気持ちよくなるためのスキンシップのひとつとして歯磨きを取り入れます。もしこの時、赤ちゃんが嫌がらなければ、仕上げ用の歯ブラシで少し磨いてみてもOK。早い段階で歯ブラシの感触に慣れていると、違和感なく歯磨きを受け入れてくれるようになります。

●「怖くない、痛くない」磨き方

 赤ちゃんが「痛い!」「怖い!」「イヤだ!」と思ったら歯磨きはうまくできません。ですので「怖くない、痛くない」磨き方を伝授します。

(1) 磨く強さを確認する
赤ちゃんの歯を磨く前に、親自身の肌に歯ブラシを当てて磨いてみましょう。「この力の入れ具合は痛い」など力の強さの加減を試してみます。

(2) 両手で赤ちゃんの顔を優しく包み込む
ひざに赤ちゃんを寝かせ、手を赤ちゃんのほっぺたに置きます。歯ブラシを持った手は、赤ちゃんのほっぺたにピタリとつけて置きます。歯磨き中に赤ちゃんの顔が動かないようにするためですが、やわらかく包み込むような優しい力で触ることで赤ちゃんが安心しますので、力を入れすぎないでください。

(3) 歯茎を指で保護する
歯と歯茎の境目に歯ブラシの先を合わせて磨きます。この時、歯茎に歯ブラシが当たると痛いので、当たりすぎないように指で歯茎を押さえて保護します。前歯の上にある上唇小帯にも歯ブラシが当たらないように押さえます。大きく動かすのではなく、小刻みに2本ずつ磨いていきましょう。

(4) 1~2分でOK!
「念入りに、しっかりと」と思ってしまいますが、赤ちゃんはそんなにじっとできません。歯磨きの時間は1~2分を目安にします。

 どうしても嫌がる時は、無理強いせず湯冷ましを飲んで終了でもOK。口の中で何が行われているのかわからず怖がる場合もありますので、手鏡で口の中を見せながら磨くと、安心してできることもあります。また、幼児期に入ると自分で磨くようになりますが、仕上げ磨きは乳児の時と同じように親がします。

 うちの娘はこの方法を実践したことで、嫌がることも、押さえつけることもなく歯磨きができました。歯磨き時にテーマソングを歌うなど遊びの一環として、夜寝る前の習慣にすることからスタートしてみましょう。

 生活習慣を整えると虫歯のリスクは減ります。乳幼児の時から、ご飯もおやつも時間を決めて食べ、歯磨きを習慣にしていきましょう。

(文/中田 馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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