2児の母であり、エレクトーンなどを教える音楽教室の先生だ。実は、身近に古墳があったことから、子どものころから古墳好き。大人になって自分なりの古墳を表現したくなり、得意のミシンで古墳アクセサリーをつくるようになった。キーホルダーやヘアゴム、ヘアピン……。実在する古墳の形をモチーフに、ビーズ刺繍でこうしたアクセサリーをこしらえ、ネットやイベントなどで販売。「かわいい」と人気で、制作が追いつかないほどだという。

「古墳はまだまだ謎が多く、ロマンがあります。古墳アクセサリーを通して、もっと多くの人に古墳を知ってもらえたらうれしいです」(阿部さん)

 古墳ガールたちに共通するのは、古墳をもっと知ってもらい、古墳を未来に引き継ぎたいという熱い思いだ。

「1500年もの間、壊される機会があったはずなのに今も残っているのは、その時代時代に思いを寄せる人たちがいて守ってきたから。今、そのバトンが私たちに回ってきています」

 こう話すのは、大阪府高槻市に住むマキリエさん(38)。

 自宅の目の前にある「今城塚(いましろづか)古墳」の素晴らしさを多くの人に知ってほしいと思い、12年から同市の古墳公園で古墳フェス「はにコット」を始めた。今や古墳フェスは3万5千人が来場する巨大イベントに成長し、古墳や歴史に関心を寄せる人々の交流の場にもなった。

「古墳は全国に約16万基あり、この数はコンビニの3倍近く。私たちの生活圏内にも古墳があると気づいてほしい。古墳を知ることが古墳を守ることにつながります」(マキリエさん)

 今月6日、ついに、仁徳天皇陵として宮内庁が管理する大山(だいせん)古墳など、「百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群」が世界遺産に決定した。古墳ガールたちに感想を聞くと、返ってきたのは、もちろんこの一言。

「コーフンしてます!」

(編集部・野村昌二)

AERA 2019年7月22日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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