安倍政権も企業に実質賃金のかさ上げを迫りましたが、市場の原理があって結局は伸びませんでした。年金問題から始まり、国民の所得をどうやって上げることができるのか。国民の先ゆく不安を払拭できる政策を出せるのかが、今回の選挙の大きな争点になるでしょう。

 最低賃金の底上げが韓国でうまくいかず副作用が大きいのは、最低賃金を一挙にかさ上げし、その結果、中小零細企業の経営を直撃、失業率が高くなってしまったからです。最低賃金をリーズナブルな割合でかさ上げし、内需を喚起するとともに年金を支える世代の老後の不安を軽減していくことが喫緊の課題となっているのです。こうしたことに各政党が与野党を問わずどんなビジョンを持っているのか、しっかりと確かめ、今度の選挙に一票を投じるべきです。

(構成/編集部・三島恵美子)

AERA 2019年7月22日号