モスクワのロシア国会議事堂で開かれた「世界愛国者平和大会」。9年前には8カ国のメンバーが来日して靖国神社などを訪れた(写真:一水会提供)
モスクワのロシア国会議事堂で開かれた「世界愛国者平和大会」。9年前には8カ国のメンバーが来日して靖国神社などを訪れた(写真:一水会提供)

 第4回の2010年から9年ぶりに、モスクワで異彩を放つサミットが開かれた。その名も、「世界愛国者平和大会」。各国の愛国者たちが一堂に会し、話し合った。

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 6月30日、トランプ大統領は初めて北朝鮮の地を踏み、金正恩朝鮮労働党委員長と米朝首脳会談を行った。その興奮も冷めやらぬ7月2日、モスクワでは世界各国の愛国者たちが一堂に会し、舌鋒鋭い意見を交わし合った。極右政党「ロシア自由民主党」を率いるジリノフスキー氏(73)が主宰する「世界愛国者平和大会」だ。

 旧ソ連時代に軍の将校を務めた同氏は、ソ連崩壊直前の1991年6月のロシア大統領選に出馬し、3位に躍進して台頭。ロシア帝国復活を掲げ、米国にアラスカ返還を求め、北方領土問題についても「原爆を使う」など過激発言をする強硬派として知られるが、党首としては柔軟な議会運営で、党勢の維持拡大に成功している。国際的な人脈も豊富で、2002年から10年まで、世界愛国者平和大会を不定期に4回開催している。結党30年の今年は、久しぶりの第5回開催となった。

 参加したのは米国、英国、ルーマニア、ベルギー、ドイツ、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ポーランドなど11カ国。日本からは、対米自立を掲げる「一水会」の木村三浩代表(62)が参加し、中国からも在ロシア大使館の参事官がオブザーバーで参加した。愛国者同士が交流を深め、偏狭なナショナリズムの抑止につなげることがテーマ。ともすればヘイトスピーチに聞こえかねない、言いたい放題の本音の中に、現代の抱える病理と矛盾がせめぎ合っていた。

 この中で、EU離脱問題で揺れる英国から参加した「英国第一党」の議長は、移民が増えすぎた現状が伝統を破壊しているなどと訴え、「真の英国を取り戻す」と決意表明したという。

 木村代表は、米国とイランが一触即発の危機に直面していることなどに触れ、「戦争の危機に煽られないように本質を見極め、愛国者こそが平和構築のための行動を取る必要がある」と提起し、さらにこう訴えた。

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