「国民の資産形成を応援するための制度です。税負担が軽減される分だけ有利に運用でき、利用しない手はありません」(同)

 前出の森山さんも、iDeCoとNISAを利用している。勤務先に企業年金がなく、自分のために自分で蓄えるiDeCoなら、公的年金だけで足りない分を補えると考えた。NISA口座も併用し、税制優遇を最大限に活用している。

「iDeCoを始めて早々、世界的に株価が下がり、マイナス(評価損)が出てちょっと焦りました。でも、今はプラスになっていますし、あまり一喜一憂しなくなりました」(森山さん)

 iDeCoとNISA、つみたてNISAは、自分が希望する金融機関で専用口座を開設する。iDeCoは事務手続きの手数料がかかるが、NISAやつみたてNISAは不要で、金融機関によってはネット上の手続きだけで即日開設できる。

 銀行でもこれらの口座を開設できるが、商品ラインアップなどが見劣りする。選択肢がそろっているのはネット証券で、その中でも楽天証券SBI証券が充実している。しかも、金融機関によってはiDeCoでも別途手数料がかかるところがあるが、これら2社は不要だ。

「iDeCoの掛け金をその年の所得から控除でき、その分だけ所得税の負担を軽くできるのも魅力。加入申し込みの手続きが完了するまで2カ月ほど時間がかかるため、早めに手続きを始めたほうが無難です」(篠田さん)

 なお、iDeCoは自営業者、会社員など被保険者区分に応じて月々の積み立て上限額が異なる。加入できるのは60歳までで、原則60歳になるまで換金できない。

 一方、NISAとつみたてNISAはどちらを選ぶべきか。iDeCoとセットで利用することを踏まえれば、毎月積み立て投資をするつみたてNISAとの相性がよさそうだ。

 仮に「10年で1千万円貯める」と目標に掲げた場合、iDeCoとつみたてNISAの合計で月々いくら、何%の利回りで運用すれば達成できるのか。試算したところ、最初に50万円を投入し、あわせて毎月6万円を積み立て、年率4.8%で運用できれば可能との結果が出た。

 では、初心者はどういった金融商品を選べばいいのか。

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