この中で本当に逃げ切れそうなのは貯金組ですね。うまくデフレに当たったので、現金の価値はそれこそ倍増しました。一方そうでもないのは我々外資組で、あまりにも早く引退しすぎて悠々自適になってしまったために、このスピードの速い世の中について行けず、なまじ金があるので、新規ビジネスに参入して失敗し一文無しになるというのが一般的な結末です。

 ただし、悪いことばかりではありません。なんといっても高齢者が働ける仕事は膨大に広がっています。庭いじりもしたことのない私でさえ農業で月6万~10万円は稼げることがわかりましたし、マックもあればコンビニもある。若い人とそういう所で一緒に仕事するのはきっと楽しいだろうな、と心底思います。

 日本の老後が悲惨だ、というのは大ウソで、むしろいろいろな人生設計を考えて楽しく暮らし、最低限の医療と安全が保障されていると思えば万々歳ではないでしょうか。

AERA 2019年7月15日号

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ぐっちー

ぐっちー

ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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