夏休みも間近。子どもたちはワクワク、親にとってはちょっと憂鬱(?)な時期です。旅行など、夏のイベントも盛りだくさんだと思いますが、気をつけたいのが普段の生活。少し気を許すとダラダラした生活になりがちに。具体的にどんなことに気をつければいいのか、脳の専門家に聞きました。

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「夏休みだからとルーズな生活を許すと、2学期の学校生活に影響して成績が落ちやすくなります」こう警告するのは、脳科学者で、小児科専門医でもある加藤俊徳先生。それを防ぐには生活リズムを崩さないことが大事。とくに意識したいのが睡眠だといいます。

「深い睡眠をとるほど脳は日中よく働きます。夏休みだからと親も夜更かしを許してしまいがちですが、最低でも9時間寝かせることを守ってください」(加藤先生)

 気をつけたいのがスマホやゲーム。小さな画面を見続けると眼球の動きが固定され、眼球運動の不足から脳が刺激されず、働きが悪くなります。スマホやゲームは時間を決めて、夜8時以降はやらないなどのルールづくりも大切だそう。

 加藤先生は、夏休みにダラダラしないよう、「3つの9」を意識することを提案します。
「勉強にしろ、運動にしろ、脳をしっかり働かせるためには、やはり大切なのは睡眠です。下の3つの9が守られれば、夏休みも元気に過ごせるはずです」

■第1の9…「夜9時に寝る」
 
 睡眠には、日中の脳の疲れを回復させる役割と、翌日の脳の覚醒を高める役割があります。脳の回復と覚醒には、十分な睡眠時間と深い眠りがとても大事。夜更かしは、このどちらも阻害してしまいます。さらによくないのは、一度夜更かしを経験すると、それが習慣化されやすいこと。夜更かしをクセにしないためには就寝時刻を決めるのが一番。

「夜9時には寝る」を毎日の習慣にし、親も夜更かしを減らしましょう。
 
■第2の9…「9時間寝る」

 朝から頭がスッキリした状態で活動するには、最低でも9時間の睡眠時間が必要です。理想は夜9時に寝て、朝6時に起きる睡眠リズム。浅く短い睡眠だと、目覚めた後も脳の活動が長時間にわたって低調なままとなり、「頭が働かない状態」が続きます。しかも落ち着きがなくなる、全体を見通すことができなくなるなど、集中すべきときに集中できない脳になってしまうので気をつけて!

■第3の9…「朝9時までに覚醒させる」

 就寝中に情報整理が進んだ午前中の脳は、一日の中で最もクリア。勉強や宿題にも最適で、朝9時から勉強や課題に取り組めれば理想的です。ただし目覚めてから脳が最大限に覚醒するまでにはおよそ3時間必要とされています。朝の6時には起きて、ラジオ体操や散歩などで軽く運動する、朝食をきちんと食べるなどして、脳が働ける状態を整えましょう。スッキリ脳で9時から宿題や勉強に取りかかれます。

『AERA with Kids 夏号』(朝日新聞出版刊)では、そのほかにも、夏休みのOK生活とNG生活を詳しく紹介しています。夏休みを有効に過ごすためのヒントにしてみてください。

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高濱正伸,安浪京子

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AERA編集部
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