撮影/写真部・小山幸佑
撮影/写真部・小山幸佑
【自動車】マイカーを手放してレンタカー・カーシェア利用に切り替えると…(AERA 2019年7月15日号より)
【自動車】マイカーを手放してレンタカー・カーシェア利用に切り替えると…(AERA 2019年7月15日号より)
藤川太(ふじかわ・ふとし)/家計の見直し相談センターを運営する生活デザイン社長。自動車メーカーを経てファイナンシャルプランナーに(写真:藤川太さん提供)
藤川太(ふじかわ・ふとし)/家計の見直し相談センターを運営する生活デザイン社長。自動車メーカーを経てファイナンシャルプランナーに(写真:藤川太さん提供)

 名古屋市の男性(49)はここ数年、車を手放すべきかどうか頭を悩ませている。通勤は電車、日常の買い物は徒歩で、車を使うのは週1~2回。

【図を見る】マイカーからカーシェアにするとこんなにも安くなる!

「便利だけど、なくても暮らせます。娘の大学進学も近いので、手放して貯蓄に回すべきか」

 20歳で最初の一台を購入して以来、ほぼ10年単位で大切に乗り継いできた。

「今の車も替えどきで手放すなら今なのですが、車がある生活に愛着があり、決めきれません」

 公共交通機関が充実していない地方では、車は移動手段として欠かせないのが現実だ。一方、都市部では男性のように「なくても生活できる」ケースが少なくない。「コストだけで言えば、都市部での保有にメリットは少ない」とファイナンシャルプランナー・藤川太さんは言う。

 200万円の車に10年乗ったと仮定すると、月あたりの車両代は1万7千円弱。諸費用を含めれば、使わなくても月3万円以上かかる。駐車場を借りればさらに加算され、AERAの試算では、都市部で車を持つ費用は月額約6万7千円にも上った。

 代替手段として挙がるのが、レンタカーとカーシェアリングだろう。カーシェアリングは会員間で車をシェアする仕組みで、一般的にレンタカーより短い利用時間が設定される。地方では公共交通を補完し、地域の支えあいの仕組みとして非営利で運営されるケースもあるが、都市部では気軽に車を利用できるサービスとして普及した。マンションで導入される例も多い。

 業界最大手社の場合、利用料は15分206円。月会費が1030円かかるが、同額分を無料利用できるので実質タダ。ガソリン代も維持費もかからない。近所にステーションさえあれば、手軽な移動手段だ。

 遠出はレンタカー、日常の買い物などにカーシェアを利用したとして試算すると、月3万円余り。車所有時と比べて3万5千円以上の差がある。これを貯めれば10年で428万円に上る。

「車が家計に占める割合は大きい。代替手段があるなら、まとまった金額を捻出するのに車を手放すのは、有効な選択肢だと思います」(藤川さん)

(編集部・川口穣)

AERA 2019年7月15日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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