「トランプ大統領は、軍事境界線を軽々と越え、朝鮮戦争の終結にも言及していますが、イランの核合意からは一方的に離脱し、米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約も反故にした。これらは『脱オバマ』という大統領選挙を意識した一貫した行動原理なのです」

 そして、こう続ける。

「朝鮮半島の運命を、極めて一方的で単独行動主義の米朝首脳の手に委ねておくことはできません。特に核兵器に関しては、朝鮮半島全体の包括的、検証可能で不可逆的な非核化を達成する必要があります」

 G20の成果を大々的に宣伝し、参議院選挙に向けてアピールしたかった安倍首相だったが、主役の座は完全にトランプ大統領に奪われてしまった。結局、G20で最も話題になったのは、大阪城の復元時にエレベーターを設置したのは「大きなミス」とした自らのスピーチ。「バリアフリーという概念を持っていないのか」と批判が殺到し、与党内では「オウンゴール」という声もある。(編集部・中原一歩)

AERA 2019年7月15日号より抜粋