「僕らは世界中に飛んでいきます。子どもの頃からの世界中に行ってみたいという夢は、今プロレスが叶えてくれています」

 海外の人には覚えにくい本名でリングに上がっている。それゆえ空港の出入国管理で本人だと気づかれ、「シンスケ・ナカムラだよ!!」と大騒ぎになったこともある。そんな中邑だが、世界で活躍する日本のアスリートにも刺激を受けるという。

「特に若い選手たちの活躍には勇気をもらえますね。サーフィンのチャンピオンシップツアーで優勝した五十嵐カノアや、スケートボードの堀米雄斗。僕らの世代がもっていた海外への壁なんか見えてすらいない。僕が考えに考えてやっていた部分を地でやっているのを見ると、頼もしいし、刺激を受けます」

 先日、中邑の古巣の新日本プロレスが米・ニューヨークのマディソンスクエアガーデン興行で満員御礼の大成功をおさめた。日本のプロレスが本場・アメリカでも受け入れられている証左だ。

「すごくいいことだと思う。日本でやることとアメリカでやることでの違いは、もうほとんどないかもしれない。日本でやるということ自体が、世界で活躍しているということになりうる。日本はガラパゴスだから、といった考え方も変わってくると思う。そういう意味では自信をもってコンテンツを発信していったほうがいい」

 WWEは日本においては、スポーツテレビチャンネルのJ SPORTSや、動画配信サービスのWWEネットワークで観ることができる。

「日本のプロレスと比べることなく、これがWWEだと思って見てほしい。先入観にとらわれず、心を空にして楽しんでほしいと思います」

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年7月15日号