伊藤まさこ(いとう・まさこ)/暮らしや料理に関するスタイリストとして女性誌や料理本などで活躍。著書に『伊藤まさこの器えらび』『美術館へ行こう ときどきおやつ』『おいしい時間をあの人へ』など(撮影/小原雄輝)
伊藤まさこ(いとう・まさこ)/暮らしや料理に関するスタイリストとして女性誌や料理本などで活躍。著書に『伊藤まさこの器えらび』『美術館へ行こう ときどきおやつ』『おいしい時間をあの人へ』など(撮影/小原雄輝)
赤キャベツの白和え(撮影/小原雄輝)
赤キャベツの白和え(撮影/小原雄輝)
きゅうりの炒めもの(撮影/小原雄輝)
きゅうりの炒めもの(撮影/小原雄輝)
しじみのにゅうめん(撮影/小原雄輝)
しじみのにゅうめん(撮影/小原雄輝)

 疲れがとれにくい、寝つきが悪い、火照ったり冷えたり……。年齢を重ねると女性のからだのあちこちに表れる不調。人気スタイリストの伊藤まさこさんが、そんな不調との付き合い方を考える著書『そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』を出版した。そこに込めた思いとは。

【おすすめの季節の野菜レシピはこちら】

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 多くの女性が悩んでいる「冷え」。ところがスタイリストの伊藤まさこさんは冷えをあまり感じてこなかった。

「むしろ暑いんです(笑)。自分では年齢の割には代謝も悪くないほうかなと思っていたのですが、3年ほど前に薬学博士の陳志清先生とお話しする機会があって、中医学でいう『陰虚』という体質だとわかりました。自分でも気づかない発見があって、なるほどなって思ったんです」

 これまで健康が当たり前だと思っていたけれど、どうやらそうではないみたい。改めて伊藤さんは、健康のありがたみを感じるようになったという。

「健康でいるために、食べものや日々の心がけといった毎日の暮らしこそが大事ですよね。それでも代謝が落ちてきたり、疲れたりするもの。病院に行くまででもないけれど、同じようにちょっとした不調を感じている人も多いんじゃないかと思って。読んでいる方も一緒に『フムフム、そうだよね』って納得しながらページを読み進められる本ができたらいいなって思っていたんです」

 そうして出来上がったのが『そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』だ。本書には、前出の陳先生との対談や、体質を見極めるチェックシート、さらには伊藤さんの日々の暮らしを支える季節の野菜レシピ、健康のために伊藤さんがいつもしていることのコラムなどが掲載されている。

「仕事柄、おいしいものを食べに行く機会も多いし、食いしん坊なのでついつい食べてしまいます。でもこうしてお酒やお肉といったものを食べておいしいと思えるのは、普段の食生活のおかげなんだなって思っています。ハレとケといいますが、どちらも大事。ハレを支えているのは普段家で食べている野菜の料理なんです」

 本書で紹介する季節の野菜レシピは37品。蒸し野菜やひじきの和えものといったスタンダードな一品から、トマトと梅干しのスープ、大根とグレープフルーツのサラダ、芹としらたきのナンプラー炒め、豆もやしとキムチの味噌汁、きんかんの砂糖漬けなど、バラエティーに富む。ところが、これらのレシピには材料の分量表記がない。

「野菜にしても水分がその時々によって違うし、塩加減の好みも自分の体調によって違いますよね。その辺の塩梅は、自分で考えていただいていいと思っています。私自身も、お料理のレシピで分量がいっぱい書いてあると嫌になっちゃうほうです(笑)」

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三島恵美子

三島恵美子

ニュース週刊誌「AERA」編集部で編集や記事執筆、書評欄などを担当。書籍の編集も多数経験。

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