子どもはトラブルを経験しながら人とのつきあい方を覚えていく(写真/gettyimages)
子どもはトラブルを経験しながら人とのつきあい方を覚えていく(写真/gettyimages)

 2、3歳になると、家族以外の「同じ年頃の友達」に興味を持ち始めます。信頼できる親が見守っているすぐそばで、ほんの少しだけ社会に飛び出そうとする子どもの姿は「よしよし、その調子!」と応援したくなります。でも、友達と関わると必ずあるのが「遊びの中でのトラブル」。物の取り合いや、たたき合いがあった時はどうすればいいのか? そんなことが頻繁にあったら、親が疲れてしまうこともあるでしょう。今回は、そんな子ども同士のトラブル時に、親ができる対処方法についてです。

●0、1歳の人間関係の移り変わり

 0歳は、信頼できる身近な人との関係を築いていきます。ですので、不安な時、悲しい時、そばにいて声をかけ抱きしめてくれる親の存在は特別。この時に経験する安心感をたくさん体に取り込むことで、赤ちゃんは親以外の人とのかかわれるようになるのです。

 1歳は、同じ空間の中で友達と過ごしていても、別々の遊びをしていることが多いです。これは並行遊びと言います。友達のしていることをじっと見つめて友達の存在を知っていきます。一人遊びをしている間にも、いろんな遊びのイメージが膨らんでいます。

●2、3歳は友達との関わりが始まる

 2歳は、大人の仲立ちがあって、友達と関わることができます。「かして」「どうぞ」のやり取りや、「順番」を伝えて、友達と遊ぶときのルールを何度も教えます。しかし、まだ友達の気持ちまで考えることはできません。

 3歳になると、友達と遊ぶことが楽しくなってきます。「一緒に遊ぼう」「こっちおいで」など、友達を誘って遊ぶようになります。友達のまねっこをしたり、順番の意味を理解して少しずつ待つことができるようになったり。友達の気持ちも少しずつわかり始めます。

●こんな時どうすればいい?

 では、よくあるトラブルの例を2つ紹介します。

〇おもちゃを取られてばかり(Aちゃん、2歳女の子)

 普段からおとなしく、友達と関わることに遠慮しがちなAちゃん。友達のしていることを横目でみつつ、気になりながらも、自分から友達に関わっていくことは、まだありません。ですが、友達がAちゃんのおもちゃを取ることがあります。取られても「あ……」という表情はするものの、怒ることもしません。そんな子には、保育士が「おもちゃを取られて悲しかった」という気持ちを代弁し、受け止めることからスタート。そして、「イヤって言っていいんだよ」と気持ちを表現してもいいことを伝えます。取られたおもちゃは、取った子と話をしてその時々で対応します。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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親が謝る姿を子どもに見せることが大切