上皇后美智子さまと関わりのあった女性たちの「言葉によるポートレート」

AERA#皇室

美智子さま その勁き声
工藤 美代子
978-4620325835
amazonamazon.co.jp

『美智子さま その勁(つよ)き声』は、民間から皇室に入り、数々の困難を乗り越えつつ皇后としての役目を果たし上皇后となられた美智子さまの、新たな実像に迫ろうという渾身の一冊だ。著者の工藤美代子さんに、同著に込めた思いを聞いた。

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 新天皇の即位、改元と稀有(けう)な時期を迎え、皇室関連書籍が沸騰している。工藤美代子さん(69)自身、美智子さまについて書くのは2冊目だが、本書はかなり異質な内容になっている。

「今回の本では、美智子さまと接点がありつつ、今までメディアに出られたことのない方々を探し出してインタビューしてみたいと思いました」

 探索の過程で工藤さんは、多くの女性たちに出会う。美智子さまのお出ましの際には必ず最前線に陣取る「追っかけ」の伊東久子さん。自身を彷彿とさせる主人公が両陛下と食事する機会に恵まれ、歓待を受けた時間のことを「皇居」という小説に書いた高倉やえさん。伊東さんは工藤さんと、高倉さんは美智子さまと同世代だ。

「伊東さんは若い時、美智子さまを追いかけて東京駅まで行ったら汽車がなくなり、翌朝、別の場所にお出ましになる際にお会いしたいために野宿されたそうです。それも、どこかのビルの軒先で雨の中、一晩中過ごしたといいますから驚きました」

 68歳で小説を書き始め、「皇居」を含む作品集『星月夜』を自費出版してしまう高倉さんにも度肝を抜かれる。

「体にピッタリ合ったオーダーメイドのスーツを着こなす、高貴な空気感をまとった女性です。『皇居』には率直な描写が出てきますが、あんなふうに美智子さまと冷静な距離感を持てる女性はほとんどいないと思います。それも、批判でも嫌みでもなく、とても自然に書いてらっしゃる」

 本書は自立した女性たちの、言葉によるポートレート集である。ある意味、ここでは伊東さんも高倉さんも美智子さまと「対等」。そして工藤さん自身、表現者としての起点に、美智子さまの存在があるようだ。

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