撮影/横関一浩
撮影/横関一浩

「Diner ダイナー」は7月5日(金)から全国公開。原作は平山夢明の同名小説。元殺し屋のシェフ・ボンベロを演じた藤原竜也さんと、彼の元で働くことになったウェートレス・カナコ役の玉城ティナさんが、撮影現場での思い出を語り合った。

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 ボンベロを演じるにあたり、藤原は1カ月料理を猛特訓した。そのボンベロが立つダイナーのセットを作り上げたのは、日本を代表する美術家の横尾忠則。細部までこだわり抜かれた世界が広がる。

藤原竜也(以下、藤原):僕は基本的にあまり料理をしない人間だから、これがきっと最初で最後の“料理映画”。練習をしたとはいえ、何事も「極める」となると、中途半端じゃできないと感じますね。中途半端な気持ちの人が誰一人としていない現場だった。「一流の仕事って面白い」と思いましたし、変な言い方ですが、その方が楽、という面もあります。その世界に入り込めばいいだけなので。非常に贅沢な時間、贅沢な現場でした。

(ダイナーに殺し屋として)窪田正孝君がきて、本郷奏多君がきて、武田真治君がきて、横尾忠則さんの美しいセットが少しずつ崩れていく。セットに少しずつ穴が開いていくのが、妙に色っぽいというか、格好よかったですね。

玉城ティナ(以下、玉城):蜷川さんの作品がすごく好きで、「さくらん」も「ヘルタースケルター」も観ていたのですが、その2作品と比べても観たことがない作品になったな、と感じました。現場で演じていたシーンが「こういうふうに切り取られたのか」という驚きもありましたし。

藤原:頑張っていたよね。雨に打たれて、監督に何度も「ティナ違う」と言われて、もう一回やって。僕は「ティナ、次は大丈夫だよ」って言っていたけれど、もう一回やっても、また監督に「違う」って言われて。

玉城:そんなこともありました。

藤原:でも、大丈夫だっていう気持ちの方が強かった。

玉城:見放されている、という気持ちは私もまったくなかったです。

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