立憲民主党などが意識するのは、18年5月に成立し、各党に選挙時の候補者を男女同数とする努力義務を課す「男女共同参画推進法」の存在だ。ただ、女性候補を増やす理由はそれだけではない。とくに都市部では働く女性やシングルマザーなどの「女性票」が、選挙の勝敗を大きく左右するためだ。

 もちろん自民党も女性票を意識した戦術を展開している。しかし、ある自民党関係者は、6月24日にテレビに映し出されたあるシーンを、「タイミングとしては最悪だった」と語る。

 そのシーンとは、野党4会派が参議院に提出した安倍晋三首相に対する問責決議案への反対討論に、やはり白のスーツで登壇し、鬼気迫る形相で「恥を知りなさい」と野党を罵倒した三原じゅん子議員の演説だ。

「伝統的に永田町で女性議員が活躍するには、ある意味、男性議員以上に『男』になって戦わなければ、ポストも出世もない。今の時代、その感覚は、いわゆる普通の有権者の意識とは完全にズレているのですが、三原さんなど党内の女性議員の多くは全く気がつかない。あの演説を見て、自民党に1票を託そうと思う女性が、どれだけいるでしょうか」

 多様性を掲げ、マイノリティーの立場を代弁するとうたう立憲民主党ら野党が、どこまで「女性票」を積み上げられるか。それが、参院選の大きな見どころの一つになりそうだ。(編集部・中原一歩)

AERA 2019年7月8日号