ボランチとして4試合にフル出場した杉田妃和(22、INAC神戸)は、かつてU-17とU-20の二つの世代別のW杯で大会MVPを獲得したテクニシャンだが、「スキルだけじゃ戦えないことを感じた。(フィジカルで上回る相手に)頭を使うことはもちろん、もう少し局面で(体を張るなど)頑張れないと」と初のW杯を終えた気持ちを吐露。3度目のW杯となった最年長の鮫島彩(32、INAC神戸)も、身体能力の高い選手に対抗するには、そこの強化が不可欠とした。

「チャンスはあったが、結局は最後フィジカルでやられている。今後は、そこを上げたうえで、足りない部分を数的優位で補おうとか、そういう話にしないと勝負にならない」

 もちろん、体は急に大きくはならない。ただFWの軸として前線で奮闘した岩渕真奈(26、INAC神戸)は156センチと小柄だが、ドイツリーグで約4年間プレーした経験があり、重心が低く推進力のあるドリブルが光った。今回のメンバーに現役の海外組は2人しかおらず、欧州やアメリカのトップリーグでフィジカルの強い選手とのプレーに慣れることも必要かもしれない。

「(欧州勢やアメリカに対し)このままだと追い抜かれるというか、同じラインにも立てなくなってしまうという危機感が強くなった」(長谷川)

 突きつけられたフィジカルという課題に、今後どう向き合っていけるか。そこが東京五輪に向けたカギになりそうだ。

(スポーツライター・栗原正夫)

AERA 2019年7月8日号