オランダ戦後半、コーナーキックのこぼれ球に詰める熊谷。日本の攻撃が体格の差ではね返される場面が目立った (c)朝日新聞社
オランダ戦後半、コーナーキックのこぼれ球に詰める熊谷。日本の攻撃が体格の差ではね返される場面が目立った (c)朝日新聞社

 女子W杯は8強のうち、日本が敗れたオランダなど欧州勢が7チームを占めた。日本の強みだった技術や戦術を強化した結果だ。日本はどう対抗すればいいのか。

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 なでしこジャパン(FIFAランク7位)が挑んだサッカー女子W杯フランス大会は、決勝トーナメント1回戦でオランダ(同8位)に敗れ、ベスト8進出を逃した。過去2大会の優勝、準優勝という結果に比べれば物足りないが、W杯初出場の選手が17人とメンバーが大幅に若返ったなか順当な結果とも言えなくもない。

 初戦で格下のアルゼンチン(同37位)と引き分けたが、第2戦でスコットランド(同20位)に勝利。第3戦でイングランド(同3位)に敗れたもののグループステージを1勝1分け1敗の2位で通過した。

 オランダ戦は序盤にセットプレーから失点する嫌な流れだったが、前半終了間際に長谷川唯(22、日テレ)のゴールで同点とすると、後半は持ち前のパスワークから2017年欧州選手権覇者をあと一歩まで追い詰めた。最後は不運にも終了間際に相手のシュートブロックに入った主将・谷紗希(28、リヨン)のハンドから与えたPKを決められ1?2と屈したが、日本のシュートがゴールポストとバーにそれぞれ1度ずつ嫌われるなど内容では互角以上だった。

 FIFAランクでは日本が上位ながら、戦前の予想はオランダ有利だった。4試合のなかで最も日本らしいサッカーを展開していただけに残念だった。

 一方で、大会を通してみれば1年後の東京五輪に向け、希望が膨らんだとは言えない状況だ。ベスト8のうち7チームを占めた欧州勢の底上げは顕著で、今後どう対抗するかを考えさせられる大会になったといえる。

 近年のなでしこジャパンは、フィジカルの弱さをパスワークや運動量などの粘りで補い、世界の強豪と渡り合ってきた。だが欧州勢は、フィジカルに加えこれまで以上にテクニックや戦術を磨いてきた。

 たとえばオランダ戦。スタメンに170センチ以上の選手を7人並べる相手に対し、日本は先発に150センチ台が4人。途中出場した籾木結花(23、日テレ)は153センチとチームで最も身長の低い選手だった。その籾木が小気味いい動きで終盤に日本のチャンスを演出したことは間違いないが、大会全体としてみれば、小柄な日本選手の足先の技術が無力になってしまうシーンも少なくなかった。

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