フルーティーフィッシュの一つ、みかんサーモン(写真/筆者提供)
フルーティーフィッシュの一つ、みかんサーモン(写真/筆者提供)

 皆さんの知り合いに、生の魚は苦手、食べられないという方はいらっしゃいますか?残念ながら、一定の割合で、生の魚が苦手という方がいるのも事実です。

 その理由を聞くと、「魚の臭いが苦手」という方が多いんですよね。同じ理由で生の魚が食べられないというお子様も多いようです。

 今日はそんな方々にぜひ知っていただきたい、特別な魚を紹介したいと思います。

 その名は「フルーティーフィッシュ」。名前を聞いただけで、おいしそうですよね♪

 フルーティーフィッシュは、柑橘類の果皮や果汁を混ぜた餌を与えて養殖した魚です。生臭さが消えたり、柑橘系の香りが魚の身についたりするのが特徴で、2007年に高知大学で開発された「ゆずブリ」が火付け役と言われています。

 元々は、柑橘類に含まれるポリフェノールやクエン酸の抗酸化作用によって、血合いの部分の変色を抑えることを目的に開発がすすめられていました。その過程で生臭さが消えたり、香りがついたりすることがわかり、そちらの効果を強調したフルーティーフィッシュが誕生しました。

 その後、愛媛県のみかんを使った「みかんブリ」や徳島県のスダチを使った「スダチブリ」、和歌山県のレモンを使った「レモンブリ」などが次々と開発され、魚の種類も、ブリからヒラマサやサーモンに拡大して、さまざまなフルーティーフィッシュが開発されています。

 しかし、これらの魚はもともと小魚などの動物性たんぱく質を主な餌としていますので、柑橘類の果皮や果汁をそのまま与えても食べてはくれません。

 どうやって食べさせるのかというと、魚粉をメインとした養殖用の餌に、果汁や果皮を混ぜて魚に与えるのです。ただ、混合の割合が高くなると、味が変わってしまってやはり魚は食べてくれません。

 さらに植物性の餌を与えすぎると、肌荒れや消化不良の原因となり、養殖魚としての商品価値が下がってしまいます。「フルーティーフィッシュ」を育てるには、果皮や果汁の混合の割合や混合した餌を与える期間など、養殖業者さん独自のノウハウがあって、それらは秘中の秘とのことです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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