「朝起きた瞬間からカツ丼食べて、コーラの1.5リットルのペットボトルを一気飲みするような毎日でした。1日平均6500キロカロリーぐらい摂取していましたね」

 その後、トレーニングジム「ライザップ」のCMキャラクターになり、3年前に20キロの減量に成功。体重70キロを切って以来、体形も変わらず健康を維持している。

 そんな森永さんの人生観を変えたもう一つの出来事が、11年の東日本大震災だった。

「震災の直後に親父が亡くなって、なぜだか通帳が一冊も見つからない。母はその6年ぐらい前に亡くなっていたし、誰に聞いても父名義の預金が全くわからずにすごく苦労しました。たまたま震災が起こって仕事が軒並みキャンセルになり8カ月間ぐらい時間ができた。そこで徹底的に調べてリストを作り、支店ごとに照会をかけて割り出していきました。全部見つかったかどうかはわかりませんが、仕事がキャンセルにならなければ一つもわからなかったかもしれない。それで痛い目を見たので、私たち夫婦同士は口座のリストだけは作ってお互いで持ち合うようにはしています」

 50代で整理しなければならないことに気づけたことで、心に少し、余裕ができたと話す。

 親との関係で自らの人生を見つめ直す機会は、40~50代を境に増していく。親の生前整理に時間を取られて、自身の生活に大きく影響が出てしまうことも珍しくない。親世代が示した人生の片付けの難しさは、翻って若いうちにどれだけこなすかがカギにもなることを教えている。(編集部・大平誠)

AERA 2019年7月1日号より抜粋