もう一つの力「チコちゃん」のほうはどんな力なのでしょうか。

「チコちゃんの方は、『ねえねえ、なんでコレはこうなると思う?』と疑問をもったり、『コレってなんでか知ってる?』という探究心をもったりする力ですね。授業で学んだ算数の公式を、なぜそうなるかを考えたり、ほかの解き方はないかを考えたりすることがそうです。番組ではチコちゃんのキメ台詞『ボーっと生きてんじゃねーよ!』と一喝されてから解説に入って行きますが、このシーンでいちばん大事なのは、怒られる前の、ゲストが『あれ? なんだっけ?』とぼんやり考えるシーンです。ここに疑問を最大限に生み出す『間』があって、喝を入れられているにもかかわらず、あれこれ考えをめぐらすことや『分かりません!』と言っていい、という環境ができているわけです」

 岡部先生はチコちゃんのような探究心を育むためには、家庭でもこの『間』を作ることが大切と言います。

「子どもがあれこれ考える時間をなるべく作り、結果、『わからない』『失敗しちゃった』となっても許容する。そうすることで、疑問や探究心を持つ芽が育っていくのです」

 お子さんに思考力を付けたいならば、ドラえもんの『似ている場面を思い出して関連付ける力』、そしてチコちゃんの『疑問を持つ力』、この二つ参考にしてみるといいでしょう。

「AERA with Kids」夏号では、岡部先生をはじめ、算数教育のプロが選んだ思考力をはぐくむ算数の教材をたくさん紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

(AERA with Kids編集部/久次律子)

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2019年 夏号 [雑誌]

高濱正伸,安浪京子

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AERA編集部
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