黒沢清監督最新作「旅のおわり世界のはじまり」でヒロインを演じた前田敦子さん。プライベートでは結婚・出産を経て母になった彼女だが、自身が大きく変化したタイミングで出合った作品とあって、思い入れもひとしおだという。お二人に、ウズベキスタンでの撮影秘話を聞いた。
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──まずは前田さん、ご出産おめでとうございます。
前田敦子(以下、前田):ありがとうございます。
黒沢清(以下、黒沢):出産前と全然変わらない。さすが女優さんですね。
前田:いやいや、妊娠で7、8キロくらいは太りました。
──映画の舞台は中央アジアのウズベキスタン。前田さん演じる葉子が、テレビリポーターとして現地を訪れる物語です。
黒沢:1カ月間現地でロケをしましたが、まず思っていたほど怖くなかったんです。知らない場所に行くのはどうしても不安ですが、踏み込んでみると、みんな協力的ですごく優しくて。
前田:最初、空港に着いたときには言葉も通じないし荷物が出てこなくて、キャスト4人でキョトンとしてました。カメラマン役の加瀬(亮)さんが「ここから監督の演出が始まってるんじゃないの?」って。
黒沢:まさに映画そのまま。
前田:そうなんです。でも蓋を開けてみたらマイペースな人たちがたくさんいるおだやかな国で、全てが楽しかったです。