「凍結される前の加算方法には反対」と話すのは、6歳と2歳の子を育てる保健師の女性(41)だ。昨年、妊婦加算について説明する厚労省作成のリーフレットを、母子手帳をもらいにきた女性たちに手渡していた。

 妊婦や胎児に特別な配慮が必要ない診療も対象で、妊婦の負担だけが増える──といった問題点が注目を集めており、

「これ、ひどいですよねと言う妊婦さんが多かった。加算の条件を改善させないと国民は納得しないと思います」

 1歳の娘がいる国家公務員の女性(40)は、甲状腺疾患の持病があって大学病院に通い、妊婦健診の自己負担総額は約23万円。加えて妊娠中に妊娠糖尿病や下肢静脈瘤になり、妊婦健診以外にも毎週のように病院に通った。日に3本のインスリン注射の針や薬代なども負担だった。

「当時、妊婦加算がされていたら財政難に陥っていたかも。これ以上の負担は正直厳しいです」

 賛成という人もいる。2人の子を育てる女性(41)は、妊娠中にインフルエンザで受診した際、内科医が順番を飛ばして診てくれて「この薬は妊娠中でも現在の週数なら大丈夫だから」と丁寧に説明してくれたといい、

「ママの不安を解消するだけの医療者の助言や配慮があるのなら数百円は高くない。みんながこういう温かい医療者だったら、妊婦加算はここまで反対されなかったのでは」と話す。

 実は乳幼児にも同様の加算がある。批判がないのはすべての自治体が乳幼児の医療費を助成し、自己負担が無料または低額に抑えられているからだ。現在、栃木、茨城、岩手、富山の4県などで妊産婦向けの医療費助成があり、日本産婦人科医会では、制度の設置を呼びかけている。同会の前田津紀夫副会長は言う。

「安心して産み育てられるために、おなかの中の赤ちゃんから乳幼児まで切れ目のない支援が必要ではないでしょうか」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年6月24日号