学習障害の苦手をiPadで改善 学校に「グレーゾーン」の居場所を作れるか (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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学習障害の苦手をiPadで改善 学校に「グレーゾーン」の居場所を作れるか

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石臥薫子AERA
鈴木ひかりさんと雄大くん(左)、陽大くん(右)。毎週日曜日は雄大くんが好きなたこ焼きを食べに行き、散歩しながら帰る(撮影/今村拓馬)

鈴木ひかりさんと雄大くん(左)、陽大くん(右)。毎週日曜日は雄大くんが好きなたこ焼きを食べに行き、散歩しながら帰る(撮影/今村拓馬)

「発達障害」の子供を持つ親たちが実際に必要としているのは、診断ではなく具体的な支援だ。16年4月に施行された「障害者差別解消法」では学校や職場での「合理的配慮」が求められるようになったが、何をそう判断するかは現場次第なのが現状だ。千葉県に住む家族に話を聞いた。

*  *  *
 千葉県浦安市に住む中学1年生、鈴木陽大くん(12)はプロバスケットボール、千葉ジェッツふなばしの大ファン。

「外でバスケしてきていい?」

 日曜日の昼過ぎ、母親のひかりさん(41)がうなずくと、

「夢と希望とちょっとのお金を持っていくね。あ、ちょっとのお金もないから夢と希望だけいっぱい持っていくねー」

 と軽口をたたいた。

 朗らかな会話からは想像しにくいが、陽大くんには「学習障害(LD)」の疑いがある。そして兄の雄大くん(15)は、知的障害を伴うASDと診断されている。言葉が遅く、こだわりも強かった長男に比べ次男の育児はスムーズだった。

「なんて育てやすいんだろうと思っていたら、幼稚園の園長から、『ちょっと心配だから市のこども発達センターに行ってみて』と言われて。えーっ、あなたも? とショックでした」(ひかりさん)

 診断名はつかず、いわゆる「グレーゾーン」のまま小学校は通常学級へ。1、2年生のうちは周りと大差なかった。「やっぱり何かおかしい」と気づいたのは3年生になってから。2年生で習った九九を全然覚えていない。毎晩泣かせてでも一緒に取り組んだが、全く効果がない。さらに板書もノートに書き写せない。視覚で捉えた文字を一時的に記憶し、手元のノートに再現することができないのだ。特に短期記憶の力が弱いため、学習の積み上げができず、5年生になっても学力は小学校2、3年生レベルで止まっていた。

「知的障害のある長男はゆるやかながらも積み上がっていくのに、どうして? と」(同)

 もがき続けていた時、ある手法の存在を知った。「苦手な部分をiPadで代替する」方法を、ハイブリッド・キッズ・アカデミーという民間の教室が教えていた。東京大学先端科学技術研究センターでの研究成果を社会に還元する場として設立され、ソフトバンクのグループ会社が全額出資する教室だ。


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