9日のエルサルバドル戦で活躍したMF久保建英。相手を翻弄するドリブルとパスは
9日のエルサルバドル戦で活躍したMF久保建英。相手を翻弄するドリブルとパスは"久保にしかできない"技術の高さを感じさせた(C)朝日新聞社

 希代のファンタジスタを射止めたのは、世界随一の人気クラブでスペインリーグの超名門「レアル・マドリード」だった。  

 14日に突如舞い込んだ、MF久保建英(FC東京)の移籍情報。地元スペイン紙も大きく報じるなど、18歳の若きサムライの話題が世界を駆け巡った。  

 久保の魅力を表すのに、こんな言葉がある。

「ドラえもんみたい。引き出しが多すぎて、何を出すかわからない」

 日本代表の主力、DF長友佑都(32、ガラタサライ、トルコ)は、独特の言い回しで久保をベタ褒め。A代表デビューを飾った9日の国際親善試合、エルサルバドル戦後に、そう語った。

 後半22分からの出場。味方を生かすパスを出したかと思えば、自らドリブル突破。相手の意表を突くワンタッチパスもあった。敵陣深い右サイド、相手2人の間をドリブルで抜き、最も得意とする右から中央へ持ち込んでのシュートも放った。

 今季定位置を手にしたFC東京では、J1首位の原動力になっている。相手が、格下のエルサルバドルだったということを差し引いても、代表レベルで通用することを見せつけたといっていい。久保が放った言葉からも、自信がみなぎる。 「自分がやれることは示せたのかなと思う」

 長友の言葉をさらにひもとけば、ブラジルで14日に開幕した南米選手権「コパ・アメリカ」、そしてレアルでも通用する可能性が見えてくる。強豪インテル・ミラノ(イタリア)で長くプレーするなど、欧州の第一線で戦ってきた長友をして、久保のプレーは「本当に読めない」。

 左利きの選手は、球を蹴りやすいように左側に持ち出す傾向がある。だが、長友は久保を「縦に(ドリブルで)行ける持ち方をする。(球を奪おうと)足を出せない」と評する。パスかと思ってコースを消せば、ドリブルでかわされる。相手の状況を見て、瞬時にプレーを変えられる力は、久保に携わった指導者が口をそろえる能力だ。日本代表を率いる森保一監督も、エルサルバドル戦後に期待を込めて言った。

「きょうのデビューをきっかけに、新たな刺激が入る。成長につながればいい。私も楽しみにしている」

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