ポイの枠に様々な種類の紙を張って実験。最も強かったのは?(写真/筆者提供)
ポイの枠に様々な種類の紙を張って実験。最も強かったのは?(写真/筆者提供)
実験はスーパーボールすくい。最高記録は何と1995個!(写真/筆者提供)
実験はスーパーボールすくい。最高記録は何と1995個!(写真/筆者提供)

 探究堂には自分が興味・関心のあることをテーマに設定し、個人プロジェクトとしてそのテーマをとことん追究する授業が存在します。

【写真】その調子!スーパーボールすくいでポイの様子を大観察!

「マイプロジェクト」を略して「まいぷろ」と名付けたこのクラスは昨年秋に実験的にスタートしました。

 既にいくつものプロジェクトが実施されてきましたが、今回はこれまでで最も思い出深かったものをご紹介したいと思います。

「なぜポイの紙は水に濡れるとぐじゅぐじゅになるのか?」

 お祭りの金魚すくいやスーパーボールすくいで使う「ポイ」。ポイに張られた紙がもう少し破れにくければ、もっとたくさんの金魚やスーパーボールを持って帰れるのに。小学4年生のK君が選んだテーマは以前よりずっと気になっていた疑問から生まれました。

「実際にスーパーボールすくいをして、ポイの様子をじっくり観察してみいひん?」

 最初のアクションについて、私から一つ提案してみました。まずは手を動かしてみることで、何か気づくことがあるかもと考えたからです。

「うん、やってみたい!そしたら、実験で使うポイが要るね」

 遊びながら実験できるということで、気分はノリノリのようです。

 彼は自分の家の近所にある大型の100円ショップやおもちゃ屋さんを巡り、何とかポイを入手することに成功。いよいよ準備万端整いました。

 実験用に購入したポイは、枠の部分を外してスペア紙を入れ替えることで繰り返し使える仕様になっていました。

 ポイを半分だけ濡らすやり方だと長持ちする?

 一旦ポイ全体を水につけてみた方が破れにくいかな?

 ポイを水に入れる角度は斜めが良い? それとも平行の方が良い?

 普段のお祭りの時とは異なりポイが使い放題なため、心置きなくいろいろなパターンを試すことができます。

 実験を重ねるうちに、彼のスーパーボールすくいの技術がみるみる上達していくのを見て、何とも愉快な気持ちになったことを今でも覚えています。

 ある日、私の知人がわざわざ授業を見学にいらっしゃいました。せっかくなので、K君がこれまで取り組んできたことを自分の言葉で説明してもらうことにしました。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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