熟成肉ならぬ「熟成魚」って? うまさ左右する「生きてるときのストレス」 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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熟成肉ならぬ「熟成魚」って? うまさ左右する「生きてるときのストレス」

連載「お魚ビッくらポン」

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岡本浩之AERA#AERAオンライン限定
新鮮なマグロとは違うしっとり濃厚な旨みが特徴の熟成マグロ(写真/筆者提供)

新鮮なマグロとは違うしっとり濃厚な旨みが特徴の熟成マグロ(写真/筆者提供)

魚のプロが見極めた熟成魚の旨みを楽しめる熟成中トロ(写真/筆者提供)

魚のプロが見極めた熟成魚の旨みを楽しめる熟成中トロ(写真/筆者提供)

 覚えている方も多いと思いますが、2014年ごろ、熟成肉ブームがありましたよね。新鮮な肉でもしばらく置いて熟成させて食べると、イノシン酸という旨み成分が出て、とても美味しくなるということでした。

【写真】熟成中トロの握りはこちら!

 当時、多くの人から「一回騙されたと思って食べてみるべき!」と言われ、半信半疑でトライしてみたところ、新鮮な肉とはまた違う美味しさに感動し、しばらくは熟成肉を出すお店を選んで食べ歩いた記憶があります。

 それから約5年。皆さんは熟成魚(エイジングフィッシュ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

 肉は基本的には調理するのでまだわかりますが、新鮮さがウリの鮮魚をわざわざ熟成させる? 意味がわからない……。腐ってしまうんじゃ……。と思われる方もいるかもしれませんね。

 実は高級なお寿司屋さんの職人さんの中には、「魚は熟成させてこそ、本来の旨みがでてくるもの!」とまで言う人も多いんです。当社でも、熟成中とろや熟成マグロは、とても人気があるメニューです。

 熟成魚の作り方は、基本的には肉と同じです。新鮮な魚をきちんと処理して、適切な環境下で保存し、あとは状態を見ながら美味しいタイミングで食べるだけです。とはいえ、それぞれの工程での難易度がかなり高く、一般の人が簡単に作れるものではありません。

 まず魚の鮮度です。魚は、生きているときのストレスによって旨みの素であるアデノシン3リン酸(ATP)が減少するので、捕獲後すぐに魚に応じた正しい方法で締めていることが必要となります。

 次に処理。締めたらすぐにエラや内臓をきれいに取り除くことが大切です。これらが残っていると、ニオイや腐敗の原因となり、時間が経つととても食べられるものではなくなってしまいます。

 その後は、適切な温度の下で状態を見ながら(これがまた素人には難しいのですが……)、腐敗する少し前のイノシン酸が最も多く出ているタイミングを見計らって食べると、しっとりとした舌触りと、何とも言えない旨みで、病みつきになるおいしさなんです。


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