「ロボットに任せる業務と人がやるべき業務の仕分けや、浮いた時間や人材の生かし方を先に決めるべきです」

 課題はそれだけではない。最近注目されているのは「野良(のら)ロボ」の増殖問題。野良ロボとは、誰にも管理されていないロボットのことを指す。

「RPAはある程度の知識があれば、担当者自身が簡単に作れます。コピーもできるし不具合があれば修正も可能。それがメリットでもある半面、担当者が異動すると放置されて中身がわからなくなるリスクも高い。どこにどんなロボットがいて、何をやっているか、しっかり一元管理していないと『野良化』が進んでしまう。最悪の場合、知らない間にメールの誤送信やデータの削除などの悪さをする『ブラックロボット』になります」(八木さん)

 八木さんによると、RPAの導入で先行している企業では「ロボを管理するロボ」も開発されているらしい。いやはや……。

 ロボットの同僚を得た今、人間に突きつけられているのは「あなたのやるべき仕事は何?」という問いだ。八木さんによれば、今後は、比較的単純な作業はロボットが担うようになるという。

「そうなる前に、本当に自分が情熱を持って取り組みたい仕事とは何なのか、改めて考える必要があります」

(編集部・石臥薫子)

AERA 2019年6月17日号より抜粋