帝人で使われているRPAキャラクター「みっけたんロボ」。「私のお仕事をみっけて」とRPA浸透に一役買っているとか(撮影/編集部・石臥薫子)
帝人で使われているRPAキャラクター「みっけたんロボ」。「私のお仕事をみっけて」とRPA浸透に一役買っているとか(撮影/編集部・石臥薫子)
ますます人手不足が深刻に(AERA 2019年6月17日号より)
ますます人手不足が深刻に(AERA 2019年6月17日号より)

 オフィスでロボットと働く時代は、もう始まっている。「ロボットの歓迎会」を開いたり「野良ロボ」がいたりする企業もあるらしい。新しい“同僚”とうまくやっていくには、心の準備も必要だ。

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「人間の仕事が奪われる?」と心配になるが、空前の人手不足に直面する日本では恐れることはないらしい。

 パーソル総合研究所と中央大学が共同実施した「労働市場の未来推計2030」(図参照)によれば、30年には644万人分の人手が不足する。女性やシニア、外国人の働き手を増やしてもなお298万人が足りず、その分は人のパソコン操作を自動で代行するソフトウェアRPA(Robotic Process Automation=ロボティック プロセス オートメーション)やAI(人工知能)の活用を含めた生産性の向上で補う必要がある。

「今後は仕事の2割をロボットに任せ、同じ時間で1.2倍の仕事と給与を得られる可能性が出てきます。いずれは自分の仕事をどれだけロボットに任せられるかが、評価項目に入ってくる時代になる」(三原さん)

 従来の「仕事」のあり方を変え始めているRPA。一方で、導入した企業では「課題」も浮き彫りになってきている。

 第一に「実は使いこなせていない」という問題。RPAの導入支援を行うパーソルプロセス&テクノロジーによれば、「ロボットに仕事を奪われるのでは」という心理的抵抗感から社内で浸透しないケースが多いという。そこで同社は、支援先の企業で「ロボットの歓迎会」を実施。他部署での導入事例を紹介するとともに、RPAのキャラクターを企画・制作。ステッカーやフィギュアなどのグッズも制作した。

「一緒に働く仲間だという『演出』をし、身近に感じてもらうことが重要なんです」(RPAソリューション統括部の梶田雄一郎さん)

 使いこなせない企業に多いもう一つの共通点は、目的を明確にしないまま、「他社もやっているからとりあえず導入してみた」というパターン。IT導入支援などを行うベイカレント・コンサルティングの八木典裕さんは、こう指摘する。

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