「初めて動いているのを見た時は『おースゴイ!』と。これまで1件あたり5分かかった作業が30秒で終わるんですから」

 そう語るのは、リゾートバイトに特化した人材派遣の会社Dive(ダイブ)で営業を担当する鈴木元(はじめ)さん(28)。社員約160人の同社では昨年末、RPAを導入した。鈴木さんら営業部隊がRPAに代行してもらっているのは社会保険の加入申請処理。従来はアルバイト候補者の派遣先が決まるたびに、申請フォーマットに個人情報を入力し、総務に回していた。契約を成立させればさせるほど申請手続きも増え、残業も増えるというジレンマがあったという。

「RPA導入後は、浮いた時間をお客さんとのコミュニケーションに振り向けることができるようになった。それが売上増と生産性アップにつながりました」(鈴木さん)

 10以上の媒体に求人情報を出す同社には、バイト希望者からの応募が1日に数百件来る。これまでは担当者が毎日2時間かけて、応募者の情報を媒体ごとに確認し、社内の管理システムに入力し直していた。候補者に犯罪歴がないかなどをネット上で調べる「反社チェック」も手作業だったが、それら6業務にRPAを導入。わずか半年でひと月あたり420時間、社員2~3人相当の業務量が削減できたという。

「効率化だけでなく、社員のストレス軽減やモチベーションアップにも繋がっています。良さを実感した社員からは、『他にもこんな業務を自動化してほしい』というアイデアが上がってくるようになりました」(情報システム部長の鮎川悟さん)

 同社のRPA導入を支援するビースタイルの三原邦彦会長は、「かつてに比べRPAのツールは格段に安くなり、現在はパソコン1台あたり90万円程度からあります。RPAは一度覚えたらミスもしないし、インフルエンザや二日酔い、メンタル不調とも無縁。24時間365日働けます。仮に価格が90万円なら時給は102円ですよ。人間はかないっこないです」

(編集部・石臥薫子)

AERA 2019年6月17日号より抜粋