川崎・練馬事件で改めて注目される「8050問題」の本質とは? (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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川崎・練馬事件で改めて注目される「8050問題」の本質とは?

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川崎市で児童らを殺傷した男の自宅。男は80代の父方の伯父夫婦との3人暮らしだった。伯父夫婦との会話はほぼなかったという (c)朝日新聞社

川崎市で児童らを殺傷した男の自宅。男は80代の父方の伯父夫婦との3人暮らしだった。伯父夫婦との会話はほぼなかったという (c)朝日新聞社

8050問題に通じる過去の主な事件(AERA 2019年6月17日号より)

8050問題に通じる過去の主な事件(AERA 2019年6月17日号より)

 川崎市と東京都練馬区で起きた事件の背景には、「8050問題」があると言われる。ひきこもる子どもの面倒を見る親もまた孤立。深刻な事態に至るまで問題が表出しない。

【8050題に通じる過去の主な事件はこちら】

*  *  *
「怒りの矛先が子どもに向いてはいけない」

 東京都練馬区の自宅で、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が6月1日、長男で無職の英一郎さん(44)を殺害した。熊沢容疑者は警視庁の調べに冒頭のように供述している。頭の中には、事件の4日前に川崎市で小学生ら20人が殺傷された別の事件があったという。

 自宅そばの小学校であった運動会の“騒音”に、「ぶっ殺すぞ」と言う長男。たしなめても怒りが収まらない状況に、熊沢容疑者は、川崎の事件のようなことになってからでは取り返しがつかないと追いつめられ、事件を起こしたとみられる。

 川崎市で児童らを殺傷後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)と熊沢容疑者の長男はともに、事件前「ひきこもり」と言われる生活を送っていたとされる。

 近年、10代、20代でひきこもっていた当事者が40代、50代を迎え、彼らを支える親も70代、80代と高齢化していることが社会問題化している。「7040」「8050」問題と呼ばれるゆえんだ。

 ただ、今回の二つの事件を受け、自宅などにひきこもる人たちを支援する複数の団体は懸念を示す。「ひきこもりUX会議」は5月31日、川崎市の事件を受けて報道機関向けに、「ひきこもりや8050問題に対して誤った認識や差別が助長されないよう、慎重な対応を」と声明を発表した。同会議の恩田夏絵代表理事は、強調する。

「ひきこもりが犯罪行為にそのまま結びつくという描き方は間違っている」

 5月28日、川崎市で男が児童たちに刃を向けた日。ある公営の「居場所」では、15歳から30代後半の不登校やひきこもりの人たちが20人余り、思い思いに過ごしていた。

 親との関係で家にいたくない、家にいるとよくないことばかりを考えてしまう、ここで人と話せるようになりたい、ゲームをする仲間がほしい……どこにも所属していない若者たちにとって、「居場所」は唯一の宿り木となっている。話してみると、いかに親と学校に傷つけられてきた人が多いかがわかる。対人恐怖や強迫神経症、解離、希死念慮など深い傷を抱える人ばかりだ。


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