「平年並みや冷夏、暑夏という表現は、あくまで3カ月の期間内の平均。真に受けて油断してはいけません。気温なら、昨日30度で今日0度という寒暖差はあり得ませんが、雨はそうではない。1カ月分の平均降水量が1日で降ることもあるのです。梅雨末期の7月には毎年のように豪雨災害が起こっている。常に最新の情報を確認して備える必要があります」(関田さん)

 昨年7月の豪雨被害をもたらしたオホーツク海高気圧は、2017年8月には東北地方の太平洋側や関東地方に冷湿な風を吹き込み、東京、仙台、大船渡で8月の月間日照時間最少記録を更新した。だが、この高気圧は季節予報で出現を予測することは困難だという。

 毎年のように繰り返される夏の豪雨被害を受け、今年3月、内閣府の「避難勧告等に関するガイドライン」が改定され、5段階の警戒レベルとリンクする防災気象情報が整った。このレベルに応じて気象庁が情報発信し、自治体が避難勧告や指示を出す。住民も避難準備や命を守る心構えなど何をすべきかが、シンプルに視覚化された。

 もうすぐ夏季が到来する。猛暑か冷夏かより、条件さえそろえばどこでも豪雨被害が起こりえることを、肝に銘じておくべきだろう。(編集部・大平誠)

AERA 2019年6月10日号