●広報紙は学校の様子を地域に伝えるためのもの

 次は、「子どもたちの健全育成に関する研究会に参加する」。PTAはそもそも「社会教育団体」として、「成人教育=保護者の教育」を行う役割を持つ。そのため研修会や講演会がPTA主催で開かれるが、中には、出汁の取り方やアロマなどの講習会を平日に行うことも多い。果たして研究や教育のためと言えるのか疑問がある取り組みも多い。

 3番目が、「学校や児童・生徒の様子を地域に伝える広報」。苦労して作っている広報紙は、実は子どもや学校のためではなく、地域のためのものだったのだ。日本PTA全国協議会では優秀な広報紙を毎年表彰するが、選ばれるのはもちろん、国が喜ぶ広報紙。

 4番目が「登下校時のパトロール」。PTAといえばパトロールだが、町内会や青少年育成委員会などと共同して行うことが多い。今度は、「地域のお手伝いさん」役が期待されている。

 5番目が、「卒業式や記念行事のときなど、記念品を贈呈する」。退会したい保護者に、「卒業式の紅白まんじゅうがもらえない」と脅しに使われるものだ。ボランティア組織が、「会員限定サービス」を学校で行っていいわけがない。

 最後に、「地域の特性を生かした行事に参加する」。だから、町内会主催のお祭りなどの手伝いに駆り出されるのだ。

 ここまで見てきてはっきりわかるのは、PTAに求められるのは「学校」と「地域」のお手伝いさんだということだ。

 見事に、子どものための活動がないではないか。取材をした親たちはみな口を揃える。

「私たち、タダ働きが嫌なのではないんです。子どものためになる活動なら、どんどんやりたいんです」

 だから、図書の読み聞かせには多くの手が挙がる。

 平日昼間の会議、来賓へのお茶出しなど、有休を取ってまで行うPTA活動は、親たちを疲弊させるだけで、子どもの笑顔につながるとは思えない。優秀なPTAが国から表彰されることも、子どもの育ちには関係がない。

 保護者が子どものために活動するにはどうしたらいいのか。PTAという全国一律のがんじがらめの組織とは決別して、学校ごとに組織される、誰もが緩やかに楽しく参加できるような保護者組織に、そろそろ変えていく時が来ているのではないだろうか。(ライター・黒川祥子)

AERA 2019年6月10日号