最後に、そう聞いても、自分が本当にやりたいことや気合を入れて取り組むべき「目的」が見つからないという人はどうすればいいのか。田村さんの言葉は明快だ。

「今目の前にあることは、自分の決断の連続の結果です。そうだとしたらやりたいことが見えなくても、無意識に好きなものを選んでいる可能性がある。やりたいことを見つけようとするのは、エネルギーも時間も無駄な気がしてなりません。それより今、目の前にあることを精いっぱいやるべきです。それは若くても50代になっても同じ。コツコツ努力して観察することを自分の喜びにしていくことに、ほとんどうまくいかない人生の醍醐味(だいごみ)があると思うんです」

(文中一部敬称略)(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年6月3日号より抜粋