「『子どもを持つ・持たない』のトラブルを抱える夫婦は多く、相談も受けますが、難しいのは夫婦それぞれの状況と価値観が複雑にからむ点です。『産みたい・産みたくない』『産める・産めない』が完全一致しないためすれ違いが生じるのです」

 今回、磯野さんは離婚というかたちで夫の成長を受け入れ、彼女自身も大きく成長したはずだと岡野さんは言う。

「重要なのは夫婦それぞれが幸せであること。離婚はその選択肢のひとつであり、幸せな再スタートを切るためのものでもあるのです」

 事実婚や拡大家族、LGBTなど家族のかたちが多様化するなか、アンケートで「結婚の意義がわからない」とコメントした人は、未婚・既婚問わず存在した。前出の西澤さんは言う。

「昭和の頃は結婚の定型があり、結婚するかしないかのほぼ2択だった。ところが結婚のかたちが多様化し選択肢が増えた分、迷いも生じるようになったのです。そもそも結婚とは、パートナーとの唯一絶対の関係であり、将来にわたってその関係が揺るぎないものであることを象徴するもの。法的な意味や社会的な利便性を除けば、それを互いに確認できているという安心感が大きい。結婚をどうとらえ活用するのかが夫婦に問われる時代に入り、互いの価値観を確認し合うことがより重要になっているのです」

(編集部・石田かおる)

AERA 2019年6月3日号より抜粋