記者会見をした齋藤哲郎学校法人カリタス学園理事長、内藤貞子カリタス小学校校長、倭文覚教頭(左から)(撮影/川口 穣)
記者会見をした齋藤哲郎学校法人カリタス学園理事長、内藤貞子カリタス小学校校長、倭文覚教頭(左から)(撮影/川口 穣)

 川崎市多摩区の路上で28日朝、児童らが男に刃物で襲われた事件。男が狙ったのは、私立カリタス小学校のスクールバスを待つ児童たちの列だった。児童の引率役として現場にいた倭文覚(しとり・さとる)教頭が、記者会見で事件当時の様子を振り返った。

【写真】事件現場。7時台は5本のバスが走り、通学のピークタイムだった

 
 この事件では、6年生の栗林華子さん(11)と、別の児童の保護者で外務省職員の小山智史さん(39)が亡くなり、児童16人が負傷した。

 倭文教頭によると、事件当時、バス停には60人を超える児童が並んでいたという。事件が起きたのは、バスが到着した直後だったとみられる。

「最初の6人ぐらいをバスに乗せたところで、キャーッという声が聞こえた」(倭文教頭、以下同)

 教頭はバスに乗る生徒を見ていたため事件の瞬間は目撃していなかったが、男は、2列に並んでバスを待つ児童たちの最後尾から襲いかかったとみられる。

「目の前に犯人が両手に長い包丁らしきものを持って、無言で児童に刃物を振りながら、スクールバスの乗り場のほうに走っていくのを確認した」

「私は襲われた最初の場面を見ていないが、亡くなった方は一番後ろの方にいた。もう一人の重いけがを負っていた児童も近くの列にいた。ですから、重いけがを負っているのは最初に襲われた方々で、スクールバスに近づくにしたがって、ケガの状況は違う」

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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