「自分が食べて美味しそうやなと思う商品を仕入れたで」

「ガブリチュウと串カツ、のむんチョゼリーは結構売れたよね」

「試食した甲斐があったと思うわ」

 ターゲット層を子どもに定めた場合、自分たちが欲しいと思うものを選ぶことがまさに消費者目線に立って考えていることにつながっていると実感してくれたようです。

「2日目に同じ値段のものを固めて置いて、その前に大きな値札を付けたのも良かったよね」

「すごく見やすいと評判やったし」

 商品の選び方・陳列方法・宣伝などいろいろな場面で小さな工夫が施されたことがわかります。

 ちなみに再度駄菓子屋を出店するとしたら、どの部分を改善するかという質問に対しては、以下のようなアイデアが挙がりました。

・冷やして美味しい商品はクーラーボックスに入れておく

・仕入れた商品すべてを最初から店頭に出す→1日目に出し損ねた商品があり、最終的にたくさん売れ残ってしまったため

・人気がある商品は買い足す

・レジ係にも商品の値段がはっきり見えるようにする→お客様の来店が集中した時にパニックになって、値段をど忘れするケースが発生したため

「じゃあ、最後の質問ね。商売をする上で大切なことは何やと思う?」

 私からの問いかけに対し、子どもたちは少し思案しながら語り始めます。

「やっぱり笑顔! こちらが笑顔で接客したら、お客さんも自然と笑顔になってくれたし」

「僕は自分が売りたい商品を置くことやと思う。売りたくない商品やったら、宣伝する気にならへんもん」

「お客さんにとって『わかりやすい』ことも重要じゃない?」

「当たり前だけど、計算間違いしないことかな。信用をなくしたら、二度とお店に来てくれなくなっちゃう」

 実際に商売をやってみて感じた素直な感想が模造紙いっぱいに書き込まれていきました。

 あとはこれらの意見をプレゼンアプリを使って事業報告書にまとめていくだけです。月末に迫った事業報告会が今から楽しみです。

(文/山田洋文)

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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