子どもたちの声を書き込む模造紙は「気づき」でいっぱいに(写真/筆者提供)
子どもたちの声を書き込む模造紙は「気づき」でいっぱいに(写真/筆者提供)
自分たちで見つけたことをプレゼンアプリでまとめて発表する(写真/筆者提供)
自分たちで見つけたことをプレゼンアプリでまとめて発表する(写真/筆者提供)

 ゴールデンウィークの2日間の駄菓子屋出店はなかなかの盛り上がりを見せました。中学年クラス(小学3・4年生)が春先から取り組んできた「商いプロジェクト」も終盤を迎えます。

 小さな商人たちを待ち構える最後の大仕事、それは収支の決算です。

「総売上高を計算するには1日目と2日目の売り上げを足せば良いってことやんね」

「商品の仕入れにかかった費用はいくらやったっけ?」

「それは現金出納帳を見たらわかるはずやで」

 会計用語の意味を一つ一つ確認しながら、プロジェクト全体の収支を計算します。

「総売上高から仕入れ原価を引いたらプラスになったよ! これって儲かったってこと?」

 一瞬喜びかけたものの、そこにはレジ袋や試食用に買ったお菓子などの費用が考慮されていません。販売管理費も含めて計算した結果、営業損益は赤字となってしまいました。

「2日目の後半に雨降らんかったら良かったのに」

「そうそう、あれがなかったらもっと売れてたと思うわ」

 愚痴っぽいつぶやきとともに、少し残念そうな表情を見せる子どもたち。

 今回の出店においては場所代を免除していたので、有利な条件でお店を経営できたはずです。もしこれを本業とするのであれば、さらに自分たちの給料を稼がなければなりません。

「商売って、めっちゃ大変やねんなあ……」

 駄菓子を販売している時は楽しさが先行していましたが、決算で真剣に数字と向き合うなかで、子どもたちは商売の厳しさもまざまざと実感したようです。

 無事決算を終えた我々はいよいよ事業報告会に向けての準備に取り掛かることにしました。

 まずは駄菓子屋の出店(準備も含む)において工夫したこととその成果を振り返ります。

「買ってくれそうな人に声をかけることを意識したかな」

「そうそう、特に子どもはお菓子好きやと思ったから、子連れのお母さんによく声かけたよ」

「あと、何人かで一緒に歩いてるグループにも」

 実際のところ、彼らの宣伝活動がきっかけで来店してくださる方も多かったので、この作戦は功を奏したと言えるでしょう。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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