僕自身の個性と言えば、殺陣が得意なので、演出家やアクション監督に「最後の決め技にこれを入れてもいいですか?」と相談することもあります。もちろん、キャラクターっぽくないからやめて、というときもあるんですけど、殺陣に関してはOKをいただけることが多いです。

 どの舞台でもそうですけど、初日が終わって、カーテンコールの時のお客さんの笑顔を見ると、毎回、毎回、ああ作り上げてきてよかった!って思います。観ていた方々に「やってもらえてよかった、さらにキャラクターに愛情を注げるようになって世界観が広がりました」なんて言われると本当に嬉しい。最高です。

 最近は映像のお仕事もさせていただいています。これからもチャレンジしたいですし、映像には映像の楽しさがある。でも「将来的に映像を中心にやりたい」みたいな気持ちはないんです。逆に映像をやることによって、舞台への愛が深まったというか。舞台は稽古期間が1カ月ある。みんなで意見をぶつけ合ったり、飲みに行ったり、そういう“作り上げる”過程も楽しいんですよね。舞台が持つ緊張感やお互いの信頼関係は素晴らしいなって。舞台、大好き! って思いました(笑)。

 自分が今こうしていられるのは、ずっと応援してくださっているファンのみなさんのおかげ。その感謝は忘れずに、求められるお仕事に真摯に応えて、目標をあえて定めずに、見えてくるものがあるといいなと思います。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2019年5月27日号