30代の会社員女性は興奮冷めやらぬ様子で言った。

「感動でした。やっぱり生は迫力が違う。本当に元気をもらいました。行ける限り、当日券に並んでリピします!」

 脚本を手掛けた毛利は言う。

「以前『この芝居を見るまでは死ぬつもりでした。でもこの舞台を見て、生きようと思います』というファンレターをもらったこともあります。こっちも本気だけど、お客さんもものすごく本気なんですよね」

「美少女戦士セーラームーン」を原作とする“Pretty Guardian Sailor Moon” The Super Liveは、昨年11月にフランス・パリで、今年3月にアメリカ・ワシントンとニューヨークで公演し、海外ファンを熱狂させた。2.5次元はアニメや漫画と並ぶ日本が海外に誇るコンテンツとなりうるのだろうか。そう尋ねると松田は笑った。

「いやいや、僕たちは漫画やアニメ・ゲームの力を借りてるので、並ぶのはちょっとおこがましいですね。ただ、原作の漫画やアニメ・ゲームだけでは伝わらない何かを伝えることはできるし、コンテンツとして長生きさせることもできます。日本国内でも2.5次元の世界観が少しずつ浸透してきたし、世界各国での経験を生かして、自信もついてきました。でも、まだまだ。今、スタート地点に立った感じです」

(ライター・大道絵里子)

AERA 2019年5月27日号より抜粋