当時は「食べ過ぎで運動不足」のような概念とは無縁の人がほとんどだ。エクササイズ目的で歩く人などいないから、代謝を抑えた無駄のない動きが身についていたのだろう。しかし、現代日本で素足でアスファルトを歩いて通勤するわけにもいかない。平さんはこう続ける。

「舗装道路を歩くのに適しているのは靴であり、素足はもちろん、草履や下駄も適しません。古くから街に石畳を敷き、室内でも靴を履いてきた欧州では、靴で正しく歩く文化が定着しています。日本人は革靴でもスニーカーでも履く時に楽なように紐をゆるゆるにしがちですが、あれはダメなんです。欧米人は靴を履き直す際、いちいち靴紐をちゃんとゆるめてからしっかり締め直します。これだけで、姿勢良く歩けるようになります」

 普段は靴紐をしっかり結び直して背筋を伸ばし、休日には公園の芝生の上を素足で歩いてみてはどうだろう。(編集部・大平誠)

AERA 2019年5月27日号