夏子:“一夜にして有名になった天才たちのグループ”みたいに思われているのですが、彼らにも1日6時間も演奏をしていた下積み時代があった、ということを知ってもらえる作品だなと思います。

上口:普通の稽古と違って、僕らは既に4カ月くらい顔を合わせているので、これはすごくありがたいことだなって思っていて。劇団など以外では、なかなかあり得ないですよね。

辰巳:一つ前に出演していた作品は戦時中を描いたものだったのですが、僕、ギターを背負って現場に行っていましたからね(笑)。

上口:人と人の関係性を描いている作品なので、僕たちがともに過ごしている「時間」にすごく価値があると思います。

加藤:先日、たまたま何人かで車に乗って稽古場の最寄り駅まで帰ったのですが、車内のあの感じ、「いいな」って思ったんですよ。多くを語るわけではないけれど、心地いいなって。

夏子:私はこれまで舞台の経験もなく、自分のなかに心のよりどころもなく。初日稽古したとき、皆さんにはもう一体感があって、どうしようかと思っていたのですが、皆さん本当に優しくしてくださる。そこに救われました。

JUON:普段の夏子ちゃんがかっこいいから。クールビューティーというか。夏子ちゃんが話しだすと聞き入ってしまう。

戸塚:「アストリッドがここにいる」というのは初めて会ったときに僕も感じました。

夏子:憧れですね、自分とは真逆なので。このウィッグをかぶると、背筋が伸びる思いがします。

戸塚:僕も作品に参加できることを光栄に思っています。(稽古を重ね)「行く先はかなり高次元だな」と感じています。キャストの方々には、本当に頼もしさを感じていて、全員がパチンとハマっているなと。俺たちがオリジナルの「BACKBEAT」であり、そう思えるところまで持っていきたいという思いはあります。

上口:誰か一人違ったら、この培った時間はないからね。

JUON:不思議だよね、終わっていないのにいいイメージを持って悟れるって。本当は終わってから言うことなのに。

一同:確かに。まだ初日も迎えていない(笑)。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2019年5月27日号より抜粋