ウィリーとの離婚後、コレットは演劇やミュージカル、映画や美術など様々な分野で芸術家と共作し大活躍、多くの恋もした。その波瀾万丈でカラフルな人生は、現代人の目にさえ驚きに映るのだ。

「彼女の人生は本当に面白く、長編ドラマのようなの。その中で、幼い頃の母親との関係が鍵だった。母親は非常に進歩的な女性で、コレットの才能を見ぬき、この世界に何らかの足跡を残すだろうと信じていたの。そんな母親の存在はとても重要だと思う」

 今や1女の母となったキーラ。母娘の関係には特に興味を惹かれるようだ。

◎「コレット」
ココ・シャネル、ジャン・コクトーとも親交があった人気作家の半生を描く。5月17日から全国公開

■もう1本おすすめDVD 「わたしを離さないで」

「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(1999年)でキーラがナタリー・ポートマン演じるアミダラの影武者役で長編映画デビューしたのが14歳の時。ジェイン・オースティン文学の映画化「プライドと偏見」(2005年)では主役を堂々演じ、若くしてアカデミー主演女優賞にノミネートされ演技力が評判となった。そのせいか時代劇で引っ張りだこになる一方、アクションや現代ドラマなど幅広いレパートリーをこなす彼女が、親友キャリー・マリガンとの共演を望み出演した映画が「わたしを離さないで」(10年)だ。

 17年のノーベル賞受賞者、カズオ・イシグロの小説の映画化。漠然とした未来社会で、人間の存在、命が科学の進歩によって変化する中、人生でかけがえのないものを求めあう若者たちを描いた群像ドラマだ。ミステリアスな物語展開が緊張感を誘う。イギリスの田舎にたたずむ寄宿学校や閑散とした風景など、色あせた雰囲気の映像が原作の理解の大きな助けになる。キーラ、キャリーに加えアンドリュー・ガーフィールドやシャーロット・ランプリング、サリー・ホーキンスなど豪華キャストの演技も見どころだ。

◎「わたしを離さないで」
発売・販売元:20世紀フォックス
ホーム エンターテイメント ジャパン
価格1905円+税/Blu-ray発売中

(ライター・高野裕子)

AERA 2019年5月20日号