携帯キャリアは今、新しい端末購入サポートのアイデアをひねり出すのに必死だ。

 ドコモが用意しているのが、紳士服やテレビの通販番組などでおなじみの、「下取り」を利用した実質的な値引き手法だ。

 たとえば「洋服の青山」では、不要になった古いスーツを下取りに出すと、新しいスーツを購入する際に最大2万円の割引が適用されるキャンペーンを実施している。「ジャパネットたかた」でも同様に、新品を買う際に古くなったテレビなどの家電を下取りに出すことで数万円の割引が受けられる。

 これらの割引は、表向きは販売事業者が下取り商品で得た原資を新品の値引きに充てているように見える。だが多くの場合は下取った中古品の価値と割引額が釣り合っておらず、単に新品を割り引くための「口実」に過ぎない場合も多いという。

 スマホの場合、比較的新しい端末は中古市場で高値が付くため、例えば一昨年発売された「iPhoneX」の状態の良いものをドコモで下取りに出せば、今も5万円余りの割引を受けられる。ドコモが16日に発表する新しい端末購入サポートでは、古いスマホでも高額で下取りするなど下取り価格の水準を上乗せすることで、10万円近い最新スマホを半額程度で入手できるようにするとみられる。

 ドコモ関係者は「価値が低いスマホでも高額の割引を受けられるように下取り価格を上げる以外に、端末購入サポートの新しい手法はないのではないか」とため息をつく。

 一方、auやソフトバンクは、改正電気通信事業法や関係省令が施行される10月ごろまでは、新しい端末購入サポートの導入には踏み切らない構え。2年縛りや4年縛りといった端末購入補助はしばらく維持されることになりそうだ。(ライター・平土令)

AERA 2019年5月20日号より抜粋