「社内でも期待はずれという声があったが、上から『幹部は後ろ向きなことは言わないように』と言われていた(苦笑)」(ドコモ幹部)

 新プランでは、「ギガホ」は現在のプランより1500円安く、「ギガライト」は毎月のデータ使用量が1ギガの人なら千円安くなり、値引き幅はそれなりに大きい。にもかかわらず、販売現場では「新プランが始まる6月からは端末が売れなくなる」といった声が漏れる。

 理由は、「分離プラン」と呼ばれる新料金では、これまでよりも携帯端末の値引きが小さくなるとみられるためだ。分離プランの導入は、5月10日に参議院本会議で可決、成立した、改正電気通信事業法に盛り込まれた。同法が施行される見通しの10月ごろから、携帯キャリアに義務付けられる。ドコモは、これに先駆けて自主的に6月から分離プランを導入する。

 分離プランでは、端末の購入を条件とした通信料金の値引きが禁止される。これまでは、例えば最新型iPhoneなどの高額端末を購入すると、2年間毎月3千円程度の割引が受けられた。それがなくなれば実質的に利用者が支払う端末代金が高くなるため、高額端末の販売が落ち込むと懸念されている。

 端末の販売は携帯キャリアにとって大きな収入源だ。そのため、各社は「分離」と販売落ち込みの防止を両立させようと知恵を絞っている。

 その一つが、auとソフトバンクが導入している「4年縛り」という手法だ。まず端末を2年ではなく4年間の分割払いにすることで、月々の負担を減らす。その上で、購入から25カ月後に端末をキャリアに返せば、残りの支払いが免除される。自動車で広まっている「残価設定型ローン」に近いやり方だ。

 ただ、このプランでは新しい端末を入手するため、25カ月目に4年縛りプランに再加入する必要があった。公正取引委員会や総務省はこの点を問題視し、端末購入を条件にした4年縛りなどの「期間拘束付き端末割引」は、改正電気通信事業法で禁止されることになった。

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