ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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固定観念かな、って思うんです。「お皿のあの位置には、パセリがあるものだ」っていう。あるいは惰性でしょうか。食べる人がほとんどいないってことは、店の人も分かっているはずです。だってどの皿にも残ってる。彩りの役割だとしても、ほかに緑色の野菜はたくさんあるわけで、ちゃんと食べてもらえる野菜に置き換えてもいいですよね。強力なチャレンジャーが無数にいるのに、あの位置を防衛し続けている。
農家の人だって複雑じゃないかと思います。せっかく丹精込めて作っても、ほとんど食べてもらえない。でも売れるから作らなきゃいけない。栄養価が高いとか、口臭予防効果が……とか言っても、食べてもらえなきゃ意味が無いじゃないですか。昔は違ったかもしれないけど、今は食べられるために生まれるわけじゃない。そんな野菜、ほかにないですよね。
なぜそこまでしてパセリなのか。これはもう、裏で何か大きな力が働いているのかもしれません。農協のトップがパセリ好きとか、政界のフィクサーがパセリ農家とか(笑)。陰謀論ってやつですね。
※AERA 2019年5月20日号