タレント・香取慎吾さん(撮影/小原雄輝)
タレント・香取慎吾さん(撮影/小原雄輝)

 日本初個展を開催中の香取慎吾さん。その名もフランス語で「ドキドキ」の意味を持つ「BOUM! BOUM! BOUM!」。自他共に認める「パーフェクトビジネスアイドル」である香取さんの、知られざる素顔に出合える展示になっていると評判だ。作品の誕生秘話や、アーティスト活動にかける思いを語った。

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 今では、香取さんの作品は、ペインティングだけでなく、オブジェもあれば、ビデオアートもあり、観客がアプリを使い自分だけの作品を画面に映し出すことのできる参加型ありと、バラエティーに富んでいる。

 オープニングの会見で香取さんが言ったように、

「ここからここがアートという境界線を作らずに。ステージとアート、音楽とアート、ファッションとアートは、すべてがつながっていると思います」

 そして、ルーブル美術館での個展以降に描かれた新作の多くでは、「あるもの」がモチーフになったという。

「僕の体にまつわるもの。つまりアイドルは自分が素材なんです。絵も僕がモチーフ。いろんな部分を見てほしいし、いろんな僕を知ってほしい。アートなら、今まで以上により深いところまで、(自分を)見せることができると思うので」

 だから、「心臓の音も、DNAも、内臓も、歯型も」、香取さんのすべてが、作品の一部になった。たとえば前述の、香取作品の代表的キャラクターである「黒ウサギ」の本展での作品は、10年以上かけて取っておいた自身の髪をコラージュしたものだ。

「いつかアートに使おうと取っておいたんです。若い頃から金髪やブルーやいろいろな色の髪をやっていたけど、絵の具と同じで、これで絵を描いたらおもしろいだろうなって。今回使ったのは黒ウサギのための黒髪だったので、金髪とかはまだ少しだけ残ってます(笑)」

 個展を開く未来を予想するはずもなかったというが、

「雑誌なんかも同じように、『これ使えるかも』と思ったものは全部取ってある。いつかコラージュにできればと」

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